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バックパッカーの旅Ⅰ(東京~アテネ)

バックパッカーの旅Ⅰ(東京~アテネ)

≪Greece/ギリシャ≫カスタム

                        ≪十月十五日≫    ―燦―

                       US$≒30DR(ドラクマ)
                        
                        1DR≒8円=100Lep

   宿を探すにも、食事をするにも、ギリシャの通貨を全く持っていない 
のに気がついた。
  
カスタムに戻り、おじさんに尋ねる。

       俺   「マネーチェンジをしたいのですが、どこかあいて

            ますか?」
      
       おじさん「今日は何処のBANKも閉まってるよ!」
      
       俺   「ええっ・・・?参ったなー。」
      
       おじさん「この裏手に、電報電話局があるから、そこへ行っ

            てごらん。」
     
       俺   「そこでもマネーチェンジしてくれるんですか?」
     
       おじさん「大丈夫と思うけどね。」
     
       俺   「ありがとう。助かりました。」

   電報電話局はカスタムのすぐ裏にあった。

  ココは遅くまで開いているらしく、中には四五台の電話BOXが置かれてい

  る。
  
  カウンターの中におじさんが一人。

       俺   「ManeyChange、Please!」
  
       おじさん「良いですよ。」

   トラベラーズチェックを見せる。

       おじさん「NO!NO!NO、TC!オンリーキャッシュ。」

   キャッシュを探す。
  
   20US$しかない。

       俺   「おじさん!20$紙幣しか持っていないので、この

           20$紙幣を渡すけど、10$分のDr(ドラクマ)と10

           $紙幣に両替してくれないかな?」
   
       おじさん「残念だけど、私はあなたに渡す10$紙幣を持ち合

           わせていないのだよ。」
      
       俺   「じゃあ、しかたないか。」
      
       おじさん「どうするんだね。」
      
       俺   「全部で良いです。」

   この辺の国ともなると、US$の価値が大きく、国策として外貨、特に

 US$の確保に躍起となっているため、何処の役人もUSドルでのお釣りを嫌

 がるのだ。
 
   仕方なく、なけなしのUS20$をドラクマにチェンジ。
  
 600ドラクマを手にする事が出来た。
 
 日本円にして、4800円ほどだ。

   この電報電話局の前は、かなり大きな広場が広がっている。

 海岸線から路地を抜けて、歩いて二三分のところにあるのだ。

 だんだんと日が落ちて来る。
 
 日が沈むまでには、今夜の宿を探さなくては・・・と元気を取り戻して歩

 き出す。

   ギリシャ文字で書かれているせいか、宿が何処にあるのか全く分らな 
 い。
 
 歩いている人に、安い宿を訪ねて一軒目に入る。

 民家のような建物だ。
 
 誰もいない中に入ると、すぐ階段になっていて二階に上がる。

 上がりきると受付がある。

   宿と言っても、家族が同じフロア―に寝起きしているらしく、乱雑な

 部屋がここ受付からでも覗く事が出来る。
 
 暫く待っていると、この家の子供だろうか(子供とおばあさんしか姿を見

 ないけど)出てくると、部屋を案内してくれた。

       俺  「How much?」
 
       娘さん「120Dr(≒1000円)」
 
       俺  「高いなー。もうちょっと何とかなんないかなー!」
 
       娘さん「110Drでは、どうですか!」
 
       俺  「高いよ。悪いけど他当って見るわ。」
 
       娘さん「そうですか。」
 
       俺  「ありがとう。」

   お礼を言って、外へ出る。
 
  ブラブラと路地を入ったり出たり・・・・結局もとの海岸線へと戻って

  しまった。
  
  そこでさっきのカスタムのおじさんに出会った。

       おじさん「やあ、両替は出来たかね?」
  
       俺   「ええ、ありがとうございました。」
  
       おじさん「そりゃあ良かった。」
  
       俺   「おじさん、安い宿は知りませんか?」
  
       おじさん「今夜の宿かね、じゃ!連れてってやろう。ついて

           来な。」

   おじさんの後ろをついていくと、なんとピレウス行きの切符売り場か

 ら4、5軒隣の店の二階に宿があるではないか。
 
 1階が土産物売り場や食料品店、そしてカフェテラス(とは言っても、イス

 とテーブルが置かれているだけの何もない所だ)になっていて、そこのご

 主人に合わせてくれたのだ。

       主人  「宿を探しているのかね?」
 
       俺   「はい。いくらなんですか?」
 
       主人  「二人だと、120DR。一人だと、80DR(≒640円)で

           どうかね。」
      
       俺   「50DRでは?」
      
       おじさん「ココには、そんなに安い宿は見つからないよ。」
      
       俺   「そうなんですか。」
      
       おじさん「ここにしときなさい。悪いようにはしないか

           ら。」
   
       俺   「分りました。おじさんの顔をたてて、お願いしま

           す。」

   まだまだ高いけど、船着場にも近くて便利だし、そんなに長く滞在す

 る訳でもなのだから・・・と、宿泊をココに決めた。
 
 カスタムのおじさんにお礼を言って、早速二階の部屋に案内してもらう。

 部屋に荷物を置いて外へ出る。
 
 重い荷物を部屋に置き、何も持たず手ぶらで町を歩ける。

   食事をしようと、レストランを探すがなかなか見つからない。

 スブラキとかカフェテラスばかりが目に付く。
 
 少し歩いてまた、海岸線へと戻ると、ピレウスへ今日の内に向かうと言っ

 て別れた二人にばったり逢ってしまった。
 
 (こんな小さな町では、逢わない方が難しいのだが)

   船が出るのは午後8時で、船はまだ入港していなかった。
 
  三人で食事でもしようと言うことになって、レストランへ向かう。
 
  二人共、あれからかなり歩き回って、いろんな処を知っているようだっ

  た。
  
  もうとっくに日は暮れている。


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